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過去の法話

 

楽屋ある人生劇場(5月下旬)

水仙

「この世は舞台、人はみな役者だ」
−All the world’s a stage, −And all the men and women merely players.
William Shakespeare

 

【鎌倉殿の13人】

 

今年の大河ドラマは『鎌倉殿の13人』。
源平合戦前から鎌倉幕府内の権力争いまでを描いた作品です。

 

弱肉強食の武家社会成立の時代。
生々しい戦争の非情さも描写していますが、
主人公が女性にふられて泣いている姿など、
コミカルな面もあって、
子ども達と毎週楽しく観ています。

 

しかし第15回「足固めの儀式」はショックでした。

 

鎌倉殿の13人

源頼朝に不満を持った御家人達が謀反の計画を企てます。
上総広常(かずさ ひろつね)はわざとそのグループに入り、
裏で手綱をうまくひっぱり、
結果、暗殺計画を失敗に終わらせます。
ところがその事を利用して頼朝は、
以前から邪魔に感じていた上総介を成敗するのです。

 

鎌倉殿の13人

御家人達の集まった中、
上総介(かずさのすけ)を梶原景時(かじわらかげとき)に斬り殺させ、
「わしに逆らう者は何人も許さぬ。肝に銘じよ!」
御家人達を一喝します。

 

【楽屋では】

 

その数日前(放送では約20分前)、二人はお酒を酌み交わしています。

 

上総介「御家人どもがまた騒ぎ出したら、俺がまた何とかするよ。」
源頼朝「上総介、そなたがいるから今のわしがおる。これからも頼むぞ。」

鎌倉殿の13人

 

すでに頼朝はこの時、上総介を始末するつもりでした。
見事なだまし討ちです。

 

見終わって小学生の子ども達が怒る怒る。
「上総介が可哀想!」
「なんて頼朝は悪い人間なのだ!」
ぶーぶー言ってました。

 

けれどもテレビの向こうではどうなっているか。

 

「カット!」

 

監督の声で上総介演じる佐藤浩市は起き上がります。
血に染まった顔を拭う彼に、
頼朝演じる大泉洋が近づいて、
「お疲れ様でした。」
お互いニッコリ握手。
楽屋でお互い撮影・舞台の話に盛り上がり、
「それじゃまた」と別れて、またそれぞれの現場へ。
……そんな情景が浮かびます。

 

【キャストとスポット】

 

「お浄土とは、この私の人生劇場の舞台裏である」(S師)
(※詳しくは、「人生劇場のキャスト(2019年・8月下旬)」)

 

お浄土は仏の世界です。
あらゆる煩悩が吹き消され、
あらゆるつながりが喜びとなります。
生前の誤解も解け、わかり合える世界。
そんな浄土への道を歩ませていただくのが念仏の道です。

 

すると必然的にこの人生は、
「浄土真宗」という壮大な大河ドラマです。
主役は各々、自分自身。
私のためにある念仏の物語です。

 

周囲はその作品の重要なキャスト。
お浄土へ往生するテーマにとって、
脇役も敵役も、大道具も小道具も、
誰一人、どれ一つ抜けてもダメです。

 

阿弥陀さまの光、
黒い無明の闇をあけ啓(ひら)くスポットが
いつでも私を照らしています。

 

【名脇役】

 

大河ドラマ「浄土真宗」の主人公のセリフは十人十色ですが、
たとえば次のような内容はどうでしょう。

 

「叔父が死んだ時、少しも淋しいとは思いませんでした。

 

 叔父は少年時代に病気になりずっと独身で実家にいました。
 良く言えば天真爛漫、
 悪く言えば四六時中ぼーっとして何を考えているのか。
 『いてもいなくても俺の生活は何も変わらない』
 そう思っていました。

 

 ですが違いました。

 

 叔父が病気だったから父は家に残りました。
 病気の弟を見守りながら辛抱した人生でした。
 そして母と結婚して私が生まれました。
 叔父がいなければ父は母と出会えていなかったかもしれません。
 そうすると私も存在していません。

 

 叔父のお陰で、今ここに私がいます。
 叔父の葬儀で、今ここに私が見守られている、
 阿弥陀という光に照らされていると知りました。

 

 喪中が終わり普段の生活は忙しいです。
 お仏壇に手をあわす時、
 念仏を申す時も、
 叔父の事を思い出す事は少なくなりました。
 でも浄土へ行ったら、
 叔父に会います。
 生前はまともに話ができなかった叔父と、
 お浄土で和気藹々と話します。
 「叔父さんは名脇役だったぜ」とお礼をいいます。
 「そうだろう。わしは名優だったろう」と笑う叔父。
 そんな情景が浮かんでくる念仏です。」

 

よかったらご参考ください。
あなたのセリフはあなたで作らなければなりません。
あなたの人生劇場、あなたの創作劇なのですから。

 


……自分が重荷に感じたり、
それどころか自分が障害に感じる相手。
「自分がこんな境遇なのはあいつのせいだ」、
「こんな場所、こんな家族に生まれなければ……」と、
責任を押しつけたくなる気持ちは、
凡夫の私たち、ぬぐいがたいものがあります。
時間はかかるかもしれませんんが、
語学を学習するように、
どうぞお聴聞を続けてみてください。
必ず、あなたのセリフ、変わるはずです。

 

(おわり)


 

 
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