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過去の法話

 

離れず・離さず(7月下旬)

水仙

【空はどうして青いの?】

 

空はどうして青いの?  海の色がうつるから♪
海はどうして広いの?  魚がたくさん泳ぐから♪

 

和田誠作詞「どうして」の冒頭です。
子供の何気ない質問にやさしく答えるとても素敵な歌です。

 

「これなーに?」
「これはスピーカー。人の声を大きくして届けてくれるんだよ。」
幼稚園の2歳の緑組さん。
いつもかわいらしく質問してくれます。

 

さて高校生の物理の時間になると、
「Why is the sky blue?(空はどうして青いのですか?」
この答えは「光の屈折が原因」と教えられます。

 

太陽の光は、いろんな波長、いろんな色が混ざり合ってできています。
波長の長いのは赤色。
波長の短いのは紫色。
いわゆる虹です。

 

光の波長は実験で見ることができます。
実験にはプリズムという物体を使います。
プリズムにライトを当てると、
ライトの光が屈折します。
波長の長さによって折れ曲がる角度が異なり、
結果、虹ができます。

太陽の光の波長は、紫に近づくほど短く、赤に近づくほど長い。
太陽の光は地球に降り注ぐとき、空気の層を通過してきます。
空気中には酸素や窒素の分子がたくさんあって、
これらに太陽の光が当たると、光が散らばります。
これを「散乱」と言います。

 

散乱の仕方は波長によって違い、
波長が短いものほど強くパーンと散らばります。
長い波長のものは散乱せず、そのまま通過します。

 

青の光が空で散らばって、空が青く見えている。
太陽の光に含まれる色のうち、短い波長を持っている青や紫だけが上空で散乱し、それを地上から見ることで空が青く見えるのです。それ以外の色は散乱せずにそのまま地上に届いていますが、全部の色が混ざっているので白っぽい光として見えます。
(気象予報士・増田雅昭

ということだそうです。

 

【問題意識】

 

人間は様々な疑問をもちます。
それに親の愛情でこたえる時もあれば、
科学的に答えることもあります。

 

お釈迦さまはかつて大きな疑問をもちました。
有名なエピソード「四門出遊」です。
東の門から散歩にでると老人に、
南の門から散歩にでると病人に、
西の門から散歩にでると死人に。
どれも決して逃れることができない苦しみと聞きショックを受けます。

 

「どうしてこんな苦しみを受けなければいけないのか?」

 

最後、北の門をでると出家者にあいます。
真理を求める生き方に感動し、
29歳の時、苦しみから解き放たれる道、解脱の道を探しに城を離れるのです。

 

35歳でブッダ、真理を体得し、
約45年の間、その悟った真理を説法されました。
その人の立場や状況にあわせてやさしく深く説かれました。

 

お釈迦さまが涅槃に入った後、
残された弟子がその教えをまとめます。
お経の登場です。

 

【三法印】

 

どのお経も大切なお釈迦さまのみ教えですが、
共通するのは三つです。

 

諸行無常(しょぎょうむじょう)
諸法無我(しょほうむが)
涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)

 

三法印(さんぼういん)といいます。

 

とどまることなくうつりかわる現実があります。
何ものにもとらわれる必要のない真実があります。
けれどもとらわれ悩む私たち。
その苦悩をこえる安らかな境地、真如の世界があります。

 

三法印から離れないのが仏教の大原則です。

 

【浄土真宗】

 

それから1000年あまり経過し、
親鸞聖人は浄土真宗をひらかれました。

本願力にあひぬれば
むなしくすぐるひとぞなき
功徳の宝海(ほうかい)みちみちて
煩悩の濁水(じょくすい)へだてなし

本願力とは、私の願いではなく仏の願いです。
私が願いをもつ以上に、
仏の方こそ大切な願い、
そしてその願いを成就する力をそなえ、
その力をふりむけるはたらき「回向」、
光を放っておられる世界を明かされました。
他力の世界です。
私と決して離れないと呼ぶ声の光です。

 

【七つの光】

 

プリズムにあてると光はおよそ七つの色にみえます。
如来の本願もおおよそ七つの色がみえます。

 

設我得佛
1 十方衆生
2 至心
3 信楽
4 欲生我国
5 乃至十念
6 若不生者不取正覚
7 唯除五逆誹謗正法#eb6ea5

 

それぞれ大切な如来という真実の色をあらわしています。
この色を一つ一つ説くのがご法座です。

 

お盆の時期、どのお寺も孟蘭盆会という法座が開かれます。
浄土真宗は「歓喜会(かんぎえ)」とよび法座があります。
「ご一緒に本願のお心を聞きましょう。」
全国の住職さんは、皆さんの来寺を心待ちにしています。

 

【離れない方法】

 

「本願から離れるな」と示された親鸞聖人。

 

ではどうすれば本願から離れないのか。
お念仏をします。
南无阿弥陀仏のお念仏。
いつでもどこでも称えることができますが、
そのおこりは本願にあります。

 

ではどうすれば念仏から離れないのか。
お仏壇があります。
住まいに礼拝し仏徳讃歎するお念仏の場をもちます。
口を動かし、手足を動かし、
仏さまの世界、真実の世界に、願いを通してふれることができます。

 

ではどうすれば仏壇から離れないのか。
ご法座に参りましょう。
縁あるときに非日常のお寺参り。
そこでお説教を聞きます。
自分だけなく、共に本願の話、お浄土の話を聞くことです。

 

ではどうすれば法座から離れないか。
……本願を忘れないことです。

 

(おわり)


 

 
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