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過去の法話

 

こだわりの言葉(5月下旬)

水仙

【時代がかわっても】

 

時代が変れば言葉も変わる。
けれども服の名称の変化についていけない私。

 

上着の事は「アウター」、下着は「インナー」。
ジーパンは「ジーンズ」、「デニム」。
短パンは、「ハーフパンツ」。
……言いづらい。

 

ジャンパーではなく、今は「ブルゾン」というのだそうです。
トレーナーではなく、「スウェット」。
セーターではなく、「ニット」(それって素材なのでは)。
そしてこれからの季節、
ランニングシャツではなく「タンクトップ」です。

 

反対に、言葉は同じでも、意味が変わったもの。
私たちの世代では「全然〜」。
以前は否定の意味でしたが、
今では「全然いい」、「全然OK」と肯定にも使われます。

 

そしてなんと言っても「やばい」です。
四年前の法話「他力の悲願」にも書きました。
「この料理、やばい!」
だいぶ免疫ができました。
使えるかというと、使えませんが。

 

時代と共にかわる言葉、
時代と共にかわる言葉の意味。
そんな時勢の変化に逆らう言葉が「教え」です。
どんな時代でも、
決して変わらず、意味も一貫したもの。

 

たとえば300回忌のお勤め。
しかし300年前のお爺さんも、「南無阿弥陀仏」とお念仏し、
その中身も今も同じです。

 

【解除と喪明け】

 

全国39県で緊急事態宣言が解除された5月14日は、
本願寺八代門主の蓮如(れんにょ)上人の522回忌でした。

 

さて、その二日後の5月16日。
歌手・西城秀樹さんの三回忌に加え、
芸人・志村けんさんの49日でした。

 

コロナウイルスの為、3月29日に亡くなられた志村さん。
葬儀はできずに涙をにじませて会見していたお兄さん。
16日、家族でつつましやかに法要をお勤めされたことでしょう。

 

亡くなった後、
テレビやインターネットでいろんな情報を知りました。
津軽三味線の得意だった志村さん。
ソウルミュージックに造詣のあった志村さん。
私にとっては「変なおじさん」「バカ殿」のイメージでしたが、
子供達には「志村どうぶつ園」の動物が好きな園長だったようです。

 

【しゃべくり006】

 

そんな頃、志村さんを、
テレビ番組「しゃべくり007(セブン)」の「過去の名場面総集編」でみかけました。
11年前の映像でした。

 

7人のお笑い芸人がゲストを囲んで楽しく話すトーク番組。
志村さんは敬語で丁寧に答えていました。

 

一番大好きな仕事は「舞台」という志村さん。
ただ準備はしっかりしても、1、2回しか本気は出さないとか。
「なぜですか?」
「だって理想の間とかタイミングは、お客さんが教えてくれるものだから。」
一同、思わずうなずいていました。

 

ところで番組の途中、子供が「あれTさんは?」
言われて見ると、7人の中、1人いません。
実はこの時期、Tさんは税金問題でテレビ出演を自粛していました。
編集者は見事にカット。
志村さんの左隣のTさんを絶対に映しません。
しゃべくり007ではなくしゃべくり006。
その編集の技術力に、ちょっと感動。

 

【やり続ける】

 

番組後半になって、若手の一人が悩みを打ち明けました。
自分はこれからもこんなバカみたいな芸人スタイルで良いのか。
すると志村さんは「こだわることですね」。

 

以前、某漫才芸人にも同じ事を言ったそうです。
「自分たちは『欧米か!』のネタしかない」と不安をもらした時、
「やり続けろ、死ぬまでやれ」と。

 

「飽きないで自信をもってやるんです。」
「そういうタイプだと残れるんです。」

 

職人肌の志村さん。
「だからいまだにコントをやっている」とも。
それから11年後、
その通り、亡くなる最後までコントを続けていました。

 

【他力のお念仏】

 

「商いは飽きない」という言葉があります。
一つの事をつきつめるというこだわり。
飽きずに、
自らが夢中になって技術をひたすら磨いていきます。
そうしていく中で、徐々に応用力が養われ、
時代に即応した仕事、相手も飽きさせない結果が生じます。
言うは易く行うは難しですが。

 

浄土真宗もひたすらつきつめるお念仏です。
それは他力のお念仏。

 

阿弥陀様のことが説かれた『無量寿経』を見事に編集された親鸞聖人です。
自力のお念仏、
自らの功徳を故人にふりむける、
そんな部分は、「真実を説く巻」にはカットされました。

 

他の仏さま、神さまはちょっと脇に置いて、
まずはお念仏の中身を聴聞していきます。

 

阿弥陀さまの願い、他力の道理をひたすら聞くうちに、
徐々に、このお念仏の妙味が養われていきます。
私の生活にぴったりと寄りそう阿弥陀さまの仕事。
「何もかもご縁だった」と、
他の神仏も決しておろそかにしていない、広大な世界観が生じます。

 

言うは易く、そして行うのも易しいお念仏。
だからこそこだわり続けます。
あとは聞くだけです。

 

現在、コロナウイルスの影響で、舞台も、そして法座もお休みです。
再会はいつになるかわかりませんが、
また足を運んでください。
そしてお互い、
阿弥陀様が目の前に浮かび上がるような、
そんな理想的な法座をつくりあげていきたいものです。

 

(おわり)


 

 
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