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- 1月上旬「おみのりに みみをすます」
おみのりに みみをすます
【谷川俊太郎】
いづれのときにか娑婆をいでん
仏恩ふかくおもひつつ
つねに弥陀を念ずべし
(阿弥陀仏の本願のはたらきを受けなければ、はたしていつ娑婆世界[現実世界]を出ることができるであろう。
仏のご恩を深く思い、常に阿弥陀仏の名号を称えるがよい。)
娑婆
浄土
本師釈迦のちからなり
(『高僧和讃』善導讃より)
(娑婆世界での果てしなく長い間の苦を捨て、浄土でさとりを得ると期することができるのは、釈尊のお力によるのである。
いつもその大いなる慈悲の恩に報いるがよい。)
今年も少しずつ法話を掲載させていただきます。
【谷川俊太郎】
昨年11月13日、谷川俊太郎さんが亡くなられました。
日本を代表する、国民的詩人・谷川俊太郎。
在学中の衝撃的な処女詩集『二十億光年の孤独』。
それから70年間、世に出した詩集・詩選集は80冊以上、
書いた作品は2000ほどあるそうです。
「朝のリレー」等、多くの詩が教科書に掲載され、
混声合唱曲「クレーの絵本」(三善晃作曲)等、数多くの作詞があります。
子ども向けの作品も多く、
詩『すき』や、絵本『もこもこもこ』『これはのみのぴこ』など、
「子どもたちのことばを深く豊かに掘り起こす仕事」をされました。
かっぱ
かっぱかっぱらった
かっぱらっぱかっぱらった
とってちってた
かっぱなっぱかった
かっぱなっぱいっぱかった
かってきってくった
楽しいことばあそびの詩もたくさんあります。
スヌーピーの出る漫画『ピーナッツ』を翻訳し続けたのも谷川さん。
子どもの頃読んだ『マザー・グースのうた』や『スイミー』も谷川俊太郎訳でした。
【除夜会】
そんな谷川俊太郎さんの49日が今年の大晦日でした。
そこで除夜会の本堂で谷川俊太郎さんの動画を流しました。
今から26年前、平成10年6月25日、
専徳寺「夢殿座」でのコンサート「音楽と詩の朗読の夕べ 〜みみをすます〜」の映像です。
出演は谷川俊太郎さんと息子賢作さんの音楽グループ「DIVA」。
組内のS寺K先生さんが記録くださいました。
コンサートは谷川さんが詩の朗読を、
そしてDIVAが谷川さんの詩に曲をつけて演奏。
谷川さんは、冒頭に「そのひとがうたうとき」、
次に「ほっとけ」「いのち」(ことばあそびうた)といった楽しい詩を、
さらに「地球へのピクニック」「地球の客」、「詩を贈ろうとすることは」。
そして最後は壮大な詩「みみをすます」のおよそ5分間の朗読でした。
みみをすます
きのうの
あまだれに
みみをすます
みみをすます
いつから
つづいてきたともしれぬ
あしおとに
みみをすます
めをつむり
みみをすます
ハイヒールのこつこつ
ながぐつのどたどた
ぽっくりのぽくぽく
みみをすます
ほうばのからんころん
あみあげのざっくざっく
ぞうりのぺたぺた
みみをすます
……(続きはこちら)
今思えば夢のような時間でした。
「ことばのある所ならどこにでも俊太郎さんがいる」(友人・高橋源一郎)
朗読の名手であり詩のボクシング世界ライト級王座2代目チャンピオン。
鉄腕アトムの主題歌の作詞家。
……切りがありません。
「ことば」と共に歩み、
「ことば」のそばにはいつもおられる、
そんな方でした。
【みみをすます】
コンサートの始まる前の挨拶で、
前住職は「みみをすますは、まるで大和言葉で書かれたお経です」と説明しました。
その理由はまず、お経の冒頭です。
お経は必ずといっていいほど「如是我聞(かくのごとくわれ聞く)」で始まります。
そして、そこから「八万四千の法門」といわれるように、
膨大なお釈迦さまの教えが説かれます。
私たちは自分勝手なはからいをすて、みみをすませるのです。
そんなお経の中に、
親鸞聖人がよりどころとされた根本経典『仏説無量寿経』があります。
人々の足音、地球の歴史の音、
自分の過去の音、様々な出来事、
楽しい音、悲しい音、辛い声、喜びの声、
ざわめきのそこの今の声、
未来の小川のせせらぎの声。
そんな一つ一つの音に、
等しく仏の喚び声がゆきわたっていると味わわれた親鸞聖人です。
道ばたの石ころから宇宙のとどろきまで、
私のいのちに関わる音や声に耳をすませながら、
そこにしみこんだ如来の願い、救いの声にみみをすませます。
「それがお経、お釈迦様がこの世にあらわれた目的でした」と、
親鸞聖人はお正信偈に説かれます。
そして私たちは何をするのか。
お聴聞です。
「
仏さまの声にみみをすませるばかりです。
新年が始まりました。
今年も一年間、
無常の人生を思いつつ、
聞法の人生を重ねつつ、
弥陀の名号を称えつつ。
一歩ずつお浄土の道を進んでいきます。
谷川俊太郎さんのような、
「ことば」のそばにいつもおられる仏さまと
ふれあっていきたいと思います。
※「みみをすます」は4年前の「住職だより」でも紹介させてもらいました。
※ コンサートの様子の一部の動画です。
(おわり) ※冒頭へ
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